この記事はネタバレ前提で執筆されています。予めご了承くださいませ。
先日、ようやく 「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」 を見に行ってきました。
巷で噂の「劇場版ドラクエ」です。
実は映画レビューというのは初めて書きます。映画はよく見ますが、特別作品や監督に詳しいというわけではないので、少し避けていたジャンルでした。
そんな私が筆をとろうと思ったのは、理由がありまして。
映画を見る前、私は「版権ものの劇場版」にはありがちな、期待と不安に満ちていました。
115分の上映時間が終わって。私の心には「なにもなかった」のです。本当に「虚無」とはこういうものなのか、というくらい「なにもなかった」です。
映画を数多く見てきて、初めての体験だったかもしれません。
以下、あくまで個人の感想になりますが、気持ちの整理の為に書かせて頂きます。
できる限りハードルを下げて観に行った今作
予告編を見て。ポスターを見て。CMを見て。ワクワクと不安が混在してました。
原作に忠実なんだろうか?いや、115分じゃ無理か。ビアンカ選んでほしいな。どこまでストーリーをなぞるのかな?オリジナル要素は少ない方がいいな…いや…流石にビアンカ一択だよな…?そこだけは裏切らないでくれ… ああビアンカ… 等。
ただ、数々の版権物の実写化や映画化で、必ずしも原作ファンが満足できるとは思えなくなっていました。
裏切られた作品があまりにも多く、「あらかじめハードルを下げておこう」と思っていました。
本当に期待してなかった。その分序盤はまだ受け止められた
そんな序幕、ドラクエおなじみの書体で語られるストーリー。
そして唐突に表示されるSFC版のドット絵のゲーム画面。
我らがビアンカ(一応フローラ)との幼少期の出会いも、ボイス無しでの再現。
のちに伏線として語られる、お馴染みのドラゴンオーブも、ゲーム画面でササっと説明。
この時点で、下げたハードルにカスリ始めているのを感じていました。
あれ?これ原作ファンも新規もどっちもついていけなくない?
ただ、私の心はもう、現実から目を逸らすことに慣れていたようです。
「せっかくお金を払うんだったら、悪いところよりも良いところを探そう」と。
ヘンリーと兵士1人しか出てこないラインハットも。
あっさり連れ去られてから、パパスの「ぬわーーーー!!!」まで2.3分しか無くても。
全カットされたマリア(ヘンリーの嫁)も。う、うん、全然、仕方ない…よな…と。
ドラクエVはそりゃ大作なんだからストーリーを全部詰め込むのは無理だ、それは分かります。
完全に原作リスペクトするなら幼少期、青年前期、青年後期の3部作になるでしょうし。
ただ、フルCGのドラクエ映画、映像としてはしっかり楽しめる出来でした。
モンスターは鳥山絵そのままだし。尺は短いですが戦闘シーンや冒険のシーンはやっぱりファンは楽しめたのではないでしょうか。
ビアンカ&フローラ登場。どっち選ぶかって分かりきってますね
ここからの展開は、私がビアンカ派なのも大いにあるでしょうが、楽しんで観ることができました。
ゲームと違い、リング集めでなくブオーン討伐が映画版での結婚条件でした。
一度はフローラに求婚するも、謎の老婆を通じてビアンカへの思いに気づくリュカ。
そして、実はその老婆はフローラが変身していたという。「やっぱりやめとけばよかったかな…」とポツリつぶやくフローラ。
若干ストーリー曲げてきているのとルドマン・フローラ以外にお城に人がいない(描かれていないだけだと信じたい)のを除けば、満足いくレベルだな~と。
この辺りでは映画館にいる他のお客さん達からも笑い声が上がったりと、コメディ要素が多かったのも感じましたね。
息子も生まれ、盛り上がりとともに進んでいくストーリー
残念ながら、娘は大人の事情でカットされたようです。
息子が生まれ、ゲマに石化され、ビアンカとリュカは離れ離れになります。
次第に闇に覆われていく世界…
そして8年後、成長した息子に救出されるリュカ。
ビアンカを救出に行くにはドラゴンオーブが必要だと知り、妖精に助けを求めに行きます。
そしてオーブを手にし、いざゲマの元へ。ビアンカを救出し、そのまま魔王軍とバトル展開です。
相手の数は圧倒的に多く、ピンチを迎える…と同時に助けに来たヘンリー&ラインハット軍&ブオーン。
ドラゴンオーブもなく、どうやってたどり着いたのかなんて説明は無いまま、そのままゲマを倒しに向かいます。
しかしゲマは魔界への扉の封印を解いてしまいました。
そして、いよいよミルドラースとの最終決戦!
ここで、今作の評価をひっくり返す大事故が起こります。
突然のフリーズ。静まり返る劇場内。段々とざわつくお客さん達
空から勇者の剣が巨大化して降ってきた!と思ったら、突如無音に。フリーズした映像。
気が付くと、リュカ以外のすべてが静止していました。
そして目の前にミルドラースらしき、しかし風体は全く違う影のような人物が現れ、主人公に言い放ちます。
「私はバグだ」
…は?
「現実ではまだ2時間しかたっていないぞ」
…え?
「ゲームばかりしていてどうする、いい加減大人になれ」
…どういうこと?
実はこのドラクエ世界は、現実世界の主人公がVR体験のような形でドラクエVの世界に入り込んでいるだけ、いわば劇中劇だったわけです。
ビアンカや息子などもただのデータだと。映画に没頭していた私たちの温度が急速に冷えていきました。
その後は、冒頭からついてきていたスライムが「僕実はワクチンなんだ云々」と言い出し、バグを倒し、再度ゲームの世界へ。
そして、魔王を倒した、という体で、先ほど消されていたのにいつの間にか復活したビアンカや仲間たちと一緒に、ゲーム世界の描写のみでエンディングを迎えます。
…なかなかひどくない?オチ、ひどすぎない?
衝撃のあまり席を立てなかった
ゲームの登場人物、ゲームにかける時間、ゲームの世界観、それらをすべて否定しておきながらまさかのゲーム内の展開のみでエンディングを迎える。
ゲーマーに対して、根本からの否定。しかし(映画の中での)現実に戻った後などの描写は一切出さない。
せめてメタ要素で劇中劇を入れるなら、映画の中の現実の中のゲームからは出てきてほしかった(書きながらすっごい頭悪い文章だなと反省してます。が、この説明しかできない。)
ゲームを題材とした映画でゲーマーの否定。ラスボスの言葉に、ぶん殴られたような衝撃を受けました。
絶対にやってはいけないオチだったと思いますね。
まとめ
結論。ゲーム好きなら見に行かないで、ゲームしてましょう。
かといって、ゲームをやってない方にはストーリーの説明不足が多く楽しめないと思いますが。
マジでどの層が喜ぶのかわからない。そんな作品でした。あ、ビアンカはかわいかったです。
個人の感想ですのであしからず。